May 2007 記

えらいものを観てしまいました

4月13日、映像作家松本俊夫氏が亡くなりました。

若い頃、(1975年頃だったと思います)東京で松本俊夫作品の上映会があって、氏も来場してインタビューに応じていたのを思い出します。

あのとき「薔薇の葬列」「石の詩」「西陣」を観ました。

youtubeで探したら昔観た氏の作品が何本もあって、今回、実験映画「アートマン」を観て強烈な衝撃を受けました。

以後般若の面が頭にこびりついて離れません。この作品は松本俊夫の最高傑作です。自称 田舎の映像作家としては恥ずべきこと。

もっと早く観るべきでした。

1975年の作品ですからあの上映会の時点ではアートマンは製作中で公開する段階ではなかったのでしょう、観た記憶はありません。

同じ年に自分も田舎で8ミリの自主映画を撮っていたし2月には新宿で街の様子を試し撮りしていてそれがyoutubeで思わぬ反響。奇遇です。

調べたらアートマンは映画関係の学校でも定番の教材なんだとか。

自分もこれを教材に同類の作品を作ってみたくなりました。制作方法はわかりました。

簡単に言えば人形に般若面を着けてそれを周囲360°から位置を変えて赤外線フィルムで撮影した写真を加工、16mmカメラでコマ撮りしたアニメです。

私にも技術的には不可能ではありませんが、同じ方法でやろうとすると途方もない労力を要します。

でもこれは挑戦する価値ありです。

真似に過ぎないかもしれませんが真似でいいじゃないですか。

無意味な行為ですが無意味で結構、「意味」こそ無意味。

突っ込み所満載ですが、アートマンと同等の作品になれば立派なものです。

今、それらしい般若の面を探しているところです。

 

「線路端の猫儀子」続報

一旦は完成した長編映像詩は、再び迷路に入り込みました。

私はあれを完成させる気がないようです。

あの中で少女には旅を続けさせることにしましたが、当然少女は私自身。

私が生きている限り旅は続くのです。

 

屋根裏から出てきた16mmフィルム

実家の私の部屋だった2階の屋根裏から昔撮った16mmフィルムが何本も出てきました。

あの頃、8mmに熱中したあげくゼンマイ巻きのB&Hを手に入れ、16mmにも手を染めたんです。

先日久しぶりに16mmエディターを引っ張り出して整備、とりあえず何本か持ち帰ったフィルムを確認しました。

大半は箸にも棒にもならない代物でしたが、一本はいつか処分しなければと気になっていたフィルムでした。

今でいう「自撮り」なんですが、これは強烈な内容で絶対他人には見せられないフィルム。

さて、どうしましょう。

 

ビデオとフィルム

このところ「アートマン」が頭にこびりついて離れません。

昔8ミリに熱中していろいろ撮りまくったフィルムのテレシネをいろいろ試していますが、いやあ、フィルムって本当にいいですね。

それに比べてビデオの映像なんて、SDだろうがHだろうが、HD、いや、HDこそ味も素っ気もありません。

確かに鮮明で色も放送用カメラのレベルなら見た目に近いとは思いますが、とにかく映像が軽薄です。

写真も同じでフィルムのあの味わいはデジタルでは表現できません。

大体、ビデオにしろデジカメにしろデジタルってのは記録された信号にすぎないじゃないですか。

実体の無い幽霊みたいなもの。

対してフィルムは画像が実体として存在し、そこにまぎれもなく「その時」が定着しています。

世間ではアナログよりデジタルのほうが最先端技術で優れているという誤解がありますよね。

技術者はそこがよくわかっているはずで、究極のデジタルはアナログということ。

古い8ミリフィルムを観ているとそこに「もののあわれ」が見事に記録されています。

具体的には撮影したその<時>そのものがフィルムに<実体>として定着します。

だから歳月の経過とともにフィルムの上の画像は熟成されていくのです。

画素数がどうの解像度がどうの圧縮技術がどうのと、そんな問題ではありません。

今までビデオ映像に取り組んできましたがつくづく嫌になりました。

 

16ミリ映画

8ミリに熱中した頃、東京の松坂屋カメラでゼンマイ巻きのB&Hを見て欲しくてたまらなくなって後日改めて買いに行きました。

たしか5万円だったと記憶しています。

当時はヨドバシカメラに16ミリフィルムが各種揃えてあって、いつでも買えました。

B&Hで何本か試し撮りした後、本気で16ミリを始めようと貯金をはたいてCanon Scoopic MNを購入、編集機材まで揃えて企画物の撮影を開始。

でも、16ミリは掛かる経費がまるで違います。

独身の気楽な身とはいえ、さすがに映写機を購入するのは資金的に不可能で16ミリは結局断念となりました。

当時まだヤフオクどころかパソコンも存在しない時代、数十万円の映写機なんてとても買えませんでした。

今、昔撮ったフィルムを編集機にかけてみると、フィルムの感触は本物の映画です。

時代は変わりました。

ネットで16ミリ機材はいくらでも手に入ります。

反面、フィルムが入手困難ですがコダックはまだ映画フィルムの生産を継続中とか。

手元にある2代目のB&H70DRは25mmレンズを入手すれば...

夢よもう一度、むらむらと創作欲が出てきました。

そんな折、友人が訪ねて来た際、昔の映画機材の本を見ながら「ARRIFLEXはいいよなあ」と意見が一致しました。

そして気がつけばその夢が現実となり、自分の手元にAngenieuxレンズを装着した16Sがあります。

 

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